初めに
日本の山や里と比較的身近な場所に毒蛇が住んでいます。
有名なのはマムシやハブでしょうか?蛇についてよくご存知でない方の中には蛇は全て毒がある・・・噛まれたら危険・・・あるいは、自分の生活している近辺に住んでいる蛇は無毒?有毒?と迷われる方まで・・毒蛇に関しての認知は様々です。


先に申しておきますと、
北海道〜四国・九州に生息する毒蛇はたったの二種類です。
有名なマムシとヤマカガシですね。

世界的に見ても、実は無毒蛇のほうが圧倒的に多いのです。そして毒は本来は防御の他に消化液の一部としても使われます。ハブやマムシに噛まれた時に壊死を起こす事からもお分かりになると思います。
海外に行くのでもなく、また沖縄等に行くのでも無ければ図鑑を開いてこの二種類を覚えましょう。

後はどんな変な(失礼)蛇があなたの前に現れたとしても無毒蛇なのでご安心を!(蛇好きがペットのコブラとかを逃してなければの話)

有毒の蛇にしても、貴方を見つけたからと言って好んで襲い掛かって来ることはありません。(アフリカのブラックマンバだけは別らしい)

ただ、マムシの場合、ピットと呼ばれる生物界で最高の精度を誇る温度感知器がついている為、反応するや否や反射反応によって噛んできますので注意が必要です。ただ、顔の前に手や足を出した場合だけですけどね。

沖縄の方にお住まいの方は以下の毒蛇に注意してください。
・ハブProtobothrops lavoviridis
・タイワンハブProtobothrops mucrosquamatus
・ヒメハブTrimeresurus okinavensis
・サキシマハブProtobothrops elegans
・トカラハブ
Protobothrops tokarensis
ツシママムシGloydius tsushimaensis
等のクサリヘビの仲間

ウミヘビの仲間
・ヒロオウミヘビLaticauda laticaudata
・アオマダラウミヘビLaticauda colubrina
・エラブウミヘビLaticauda semifasciata
・イイジマウミヘビEmydocephalus ijimae
・クロガシラウミヘビHydrophis melanocephalus
・マダラウミヘビHydrophis cynanocinctus
・クロボシウミヘビHydrophis ornatus maresinensis
・トゲウミヘビ Lapemis curtus
・セグロウミヘビPelamis platurus

コブラの仲間
・イワサキワモンベニヘビSinomicrurus macclellandi iwasakii
・ハイSinomicrurus japonicus boettgeri
・ヒャンSinomicrurus japonicus japonicus
・クメジマハイ
Sinomicrurus japonicus takarai

ナミヘビの仲間
・ミヤコヒバァAmphiesma concelarum
・ヤエヤマヒバァ
Amphiesma ishigakiense
・ガラスヒバァAmphiesma pryeri

です。
しかし、ハブは誰が見たって危険だって分かるでしょうし、青字の種は大人しくて積極的に噛まないものや、泳いでくるのが見えたりするものばかりなので気をつければ対処出来ると思われます。
ヒバァの仲間位は覚えましょう。たった三種類です。

無毒蛇にしても毒蛇にしても、見つけたからといって捕獲してハサミで切り刻むのは可笑しいと思います。
危害を加えるものは無い方が良いに越した事は無いにしても、噛む原因を作るから噛まれると認識しましょう。

畑に潜むものがあれば棒などで様子を探るくらいしてもいい気がします。仕事の作業効率が落ちるでしょうが、それが嫌なら畑をハブなどを発見しやすいように作るとか何か対策がある筈だと思います。
ただ、0.02〜5rでマウスが死亡するだけに注意する必要があります。

毒の種類
毒の種類には大きく分けて二つあります。それぞれ効用が違いますので対処の仕方も異なります。
毒の種類は次の二つ。

・出血毒

・神経毒

です。

出血毒・神経毒・筋肉毒等の主成分はタンパク質であり、出血毒はアミノ酸の結合が甘いので胃酸で分解されて無毒化されてしまうので、飲んでも害はありません。ただし、口内炎等の傷から入り込むと大変な事になるので口等に傷がある人は止めましょう。ただし、胃潰瘍の場合、胃酸で無害になるのでこの場合は大丈夫だと思います(まぁ、飲む人は居ないでしょうね)

作用としては、咬んだ部位の筋肉や皮膚を壊死(腐らせる)させていきます。指が曲がらなくなると言うレベルでは済まず、どす黒くなって腫れあがり、二日もすれば筋肉が腐りきって骨が見えてくることも!
ハブによって毎年300人が噛まれているので注意が必要です。
後遺症も残るのが痛い所。

ハブやマムシの毒のタンパク質成分としてはこのようになるのだそうです。

マムシ ハブ 作用
出血因子(毒の本体) brevilysins H3,H4,H6 HR1A, HR1B
HR2a, HR2b
血管壁損傷(出血)、
(フィブリノーゲン分解)
金属プロテアーゼ
 (非出血性)
brevilysins H1,H2,L4,L6 H2-proteinase 筋肉分解,血管損傷、
フィブリノーゲン分解
セリンプロテアーゼ トロンビン様酵素
血管透過性増大因子
flavoxobin他 フィブリノーゲン分解、
血管透過性増大、補体活性化
ディスインテグリン brevicaudins flavoridin,triflavin 血小板凝集の阻止
ホスホリパーゼA2(PLA2 acidic PLA2 Asp49-PLA2他 細胞膜損傷,血小板凝集の阻止
PLA2関連タンパク質 - BP I, BP II 筋壊死,浮腫(後遺症)
ヒアルロニダーゼ + + 組織の破壊
L-アミノ酸酸化酵素 + + H2O2発生(膜損傷)
ブラジキニン増強ペプチド + + ブラジキニン生成(激痛)
神経毒 ablomin triflin Ca2+チャンネル遮断

血が止まらなくなり、皮膚や筋肉が壊死を起こしていくという恐ろしいものです。

蛇の神経毒

神経毒はアミノ酸数60〜74くらいのポリペプチド。その作用部位から4種に分類。
1. α-neurotoxins:
ポリペプチドである。α-ブンガロトキシン、エラブトキシン、コブロトキシンなど、多くの毒蛇から類似のものが報告されている。
IVCHTTATSP ISAVTCPPGE NLCYRKMWCD AFCSSKGKVV ELGCAATCPS
KKPYEEVTCC STDKCNPHPK QRPG
Bungarus multicinctus毒由来のα-bungalotoxinのアミノ酸配列
神経筋接合部のシナプス後膜(筋肉側)のニコチン性アセチルコリン受容体と結合。神経終末から放出される神経伝達物質アセチルコリンの結合を妨げる。その結果、筋肉は弛緩する。
2. β-neurotoxins:
ノテキシン、クロトキシン、β-ブンガロトキシンなど構造的には、リン脂質分解酵素であるホスホリパーゼA2そのものである。従って、ホスホリパーゼA2活性とともに、神経筋接合部の神経側の膜に作用して、アセチルコリンの放出を妨げる作用がある。その結果、筋肉は収縮することができない。
3. デンドロトキシン:
デンドロトキシン、トキシンIなどBPTI/Kunitz type inhibitorファミリーに類似の立体構造をもつ小型のタンパク質。
神経のカリウムイオンチャネルを阻害して、カリウムイオンの神経からの放出を妨げる。そのために、興奮が元に戻らず、アセチルコリンの放出が続き、筋肉は収縮した状態が続く。
4. κ-toxins:
シナプス後膜のアセチルコリンエステラーゼの働きを阻害。その結果、受容体に結合したアセチルコリンの分解が妨げられ、興奮が持続した状態になる。筋肉は収縮した状態が続く。

この資料はこちら様(http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/%7Ebc1/Biochem/venoms.htm)から引用させて頂きました。
問題がある場合は直ぐに対応いたしますのでお手数ですがご連絡ください。

さてコブラの仲間の神経毒の場合は、呼吸器官に作用するために呼吸が出来なくなるのだそうで、処置も当然全身的になりますが、後遺症は逆に少ないそうです。

蛇に噛まれたら・・・・
実際にはヘビに咬まれた場合、無毒ヘビであれば消毒、止血程度で大丈夫ですが、ニホンマムシなどの毒蛇であった場合、切る、縛るという行為は絶対にしてはいけません。
吸い出すのは大丈夫ですが、口内に傷があっても、大丈夫な事があります。
そもそも、毒は全体量の1/10〜1/20程度の注入量ですので
僅かしか入っていません。

また、その内全てを吸い出せるわけでもないですので、
あくまでも、注入された毒の体内の濃度を下げるための応急手段です。
口で吸えない場合は、吸引機を使用する事が望ましく、実際にニホンマムシに噛まれた事のある方のご意見では咬まれた方のご意見では、吸引機を使用し、症状を軽くさせた例があると言います。
また、口で吸った毒は、タンパク質の混合物なので、胃で分解されるため飲んでしまっても構いません。

よく言われる縛ると言う行為は、治療日数を伸ばしてしまうそうです。
そもそもニホンマムシの毒での症状は、とにかく腫れますので、血管の圧迫作用もあります。
ですから、その時点で縛ってしまうと、酸素が患部に行かなくなり、最悪、切断となってしまいます。

次に、受傷者をなるべく動かさないようにして救急車を呼んだ場所、あるいは病院に運ぶ事です。
と、言うのも、動かすとそれだけ早く毒が回ってしまい危ないとされるからです。
相手が同性でも異性でも嫌いな子でも好きな子でも命を助けるのですからためらうことはありません。背負いましょう。

なお、受傷者は、水分を多めに取る、特に牛乳は中々良いと昔聞いた覚えがあります。体内の水分を多くし、尿として毒素を薄めて排出してしまおうという発案でしょう。良さそうですが試したことはありません。

応急処置は昔から幾つか方法があり、管理人もこれと言ったものが分かりません。有用な方法があれば教えて頂きたいものです。

最後に・・・・良く言われることですが、頭が三角形だから毒蛇!スマートだから無毒蛇!と言う定義はありません。
外国産のボア・パイソン(ニシキヘビ)は無毒ですが頭が三角形ですし、ウミヘビだとかのコブラの仲間は頭がスマートでも有毒です。
これと言う方法は存在しないので蛇を覚えてしまうか、図鑑を携帯するより他に方法はありません。
出会い頭にむやみやたらに蛇を殺すことだけは止めて頂きたいものだな・・と管理人はいつも思ってます。

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